MIDIファイルをMuseデータ形式のファイルに変換するソフト。
「mid2mus希望」と書いたメールにオリジナルなMuseデータを添付して加藤一郎氏に送ると、このソフトがもらえる。
加藤一郎氏によると、以前mid2musをもらうために中身が「drm」と記述されただけのデータが送られたことがあったという。
失礼極まりない事例である。しかし、「そうは言っても、自分の開発したソフトを欲しいと思う人がいることは、開発者冥利に尽きる」と加藤一郎氏は語っていた。
使い方†
コマンドプロンプトで起動する場合†
mid2musはコマンドラインアプリであるため、通常はコマンドプロンプトを用いて操作する。
mid2mus [オプション] [ファイル名]
変換に成功すると「OK」が表示され、MIDIファイルと同名の(.mus)ファイルが出力される。
逆に失敗すると、「Error: 内容」が表示され、Museデータも出力されない。
※引数なしで起動すると、詳細な使い方などが表示される。
[オプション]†
- /x1
- 出力するデータの音名を、 x1(英米) 形式にする。
- /x2
- 出力するデータの音名を、 x2(独) 形式にする。
[ファイル名]†
変換対象のファイル名を記述する。
- 早退パスを記述した場合、現在のディレクトリーにあるファイルが対象となる
- [*.mid]のようにワイルドカードを記述することができる。
- 複数のファイルを列挙記述することができる。
Explorer等から起動する場合†
以下のいずれかの方法を用いれば、Explorerでも利用を試みることができる。
- 「mid2mus」のショートカットを作成し、変換したいMidiファイルをドラッグ&ドロップする。
- 「mid2mus /x1 %1」のようなバッチファイルを作成し、そこに変換したいMidiファイルをドラッグ&ドロップする。
- 「送る」メニューにMid2musや、そのバッチファイルを追加し、Midiファイルを送る
上記の方法では、変換の成功/失敗の可否は、Museデータの有無、または更新日時で判断する必要がある。「>muse.log」等と記述しても良いが…
※なお、「Midiファイルを mid2mus に関連付ける」行為は避けた方が良い。過去に作成したMuseデータをMid2musによる変換結果で上書きしてしまう危険があるためである。
mid2mus による変換の仕様†
mid2mus で変換した Muse データは、手打ちで作られた Muse データとは異なる、独特の変換結果が出力される。
ここでは、mid2mus で変換された Muse データの特徴を列挙する。
※mid2mus のバージョンにより当てはまらない項目もあり。
- フィンガーは0,1,2のみ使用される。
- 1番フィンガーにすべてのメンバー属性が記述される。V や S や U などが、フィンガー1 内にすべて混在することになる。
- 2番フィンガーに音符が記述される。
- 0番フィンガーはAメンバーのみ使用され、そこに全体属性が記述される。DATAコマンド、%テンポ、TEXTテキスト表示など。
- 一部のメンバー属性が X**=** に置き換えられる。
- 出力されるメンバーは@ABC……の順であるが、メンバーZ はメンバーI とメンバーJ の間に出力される。
- MIDIチャンネルの順番に出力(ドラムパートは MIDI規格では「10ch(10番目)」であるため)
- インデント
- テキスト上の小節線やスペースなどは一切出力されない。
- 各フィンガー内のデータは、行頭にタブ文字が入り、130バイト付近で改行によって折り返される。
- 以下のコマンドが出力されない。
- 調性(\)とフラット(-)、ナチュラル(=)が存在しない
- 全ての音を実音で表記するため、調性の指定をする必要がない。フラットされる音はシャープによって記述される。したがって、ナチュラルも存在しない。
- mid2mus の変換データの最大の特徴は調性の指定がなく、フラットの記述が一切出てこないところにある、と言える。
- 和音の再現表記,コード,和音とコードの遅延
- 全ての音は実音で記述されるため、コードは記述されない。再現表記は存在する。また、遅延表記は和音の連結によって表記される。
- 連符,連符の再現表記
- 3連符や特殊な連符は、全て微分音長による音長の加算や休符に置き換えられる。
- 曲中のタイミング合わせ
- 曲中にタイミングを合わせる「%」や「%(メンバー)」は、休符に置き換えられる。記述されている全てのフィンガーに休符がつく。
- 一部のメンバー属性・フィンガー属性・テンポの遅延
- 属性値と休符だけで表現される。(例:“%50 %46:4”=“%50_16 %49_16 %48_16 %47_16 %46”)
- 出音・止音の指定
- スタッカートと音長の加算、休符によって表現される。止音よりも出音が早い場合は、和音の連結によって出力される。
- 定義マクロ、展開マクロ、無名マクロ
- マクロが展開された状態で全て書かれる。{ } は一切登場しない。
- ブロックコメント,冒頭以外のコメント,曲中の全角文字,小節区切りのような記号など
- Muse が再生する時に無視する文字は出てこない。ただし、データの冒頭にファイルのパスや作者名などが書かれた部分を除く。
- *STOP、*MARK
- すべて *TEXT に変換されるため、*STOP による曲の一時停止(クリック待ち)は一切行えない。
- *FONT,*COLR
- Muse だけに有効なコマンドであるため、そもそも出力されない。
- システムメッセージ
- *DATAコマンドが忠実に出力される。
- *POOLコマンドは出力されず、すべて展開される。
- 集約可能なNRPNは、*ROOMコマンドで出力される。
- X指定も出力される。
mid2mus で変換されたデータ†
mid2mus は MIDI ファイルを機械的に Muse データに変換するため、どうしても mid2mus 特有のデータとなりやすい。
基本としてmid2mus で変換した Muse データを『Muse の殿堂』に投稿しても審査の対象にならない。
ただ、データを聴いただけでは手書きによる打ち込みか mid2mus変換データであるかの判別はほぼ不可能である。
過去、殿堂に登録された曲の中には、mid2mus で変換された楽曲があったようだ。